名古屋地方裁判所 昭和40年(行ウ)43号 判決 1966年6月14日
原告 岡村仁三次郎
被告 名古屋市
右代表者市長 杉戸清
右訴訟代理人弁護士 鈴木匡
右訴訟復代理人弁護士 大場民男
右同 清水幸雄
被告 愛知県知事桑原幹根
右法定代理人愛知県事務吏員 新美富太郎
<ほか一名>
被告 建設大臣瀬戸山三男
右被告両名指定代理人検事 水野祐一
<ほか一名>
主文
原告の訴を却下する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実
≪省略≫
理由
原告の被告名古屋市に対する請求は「原告所有の甲乙従前土地に対し同被告が名古屋市都市計画荒子川南部土地区画整理事業施行者として土地区画整理法第九八条第一項の規定に基づき昭和三八年一一月二二日甲従前土地につき甲仮換地を、乙従前土地につき乙仮換地を各指定した処分の取消」を求めるものであり、原告の被告愛知県知事に対する請求は「原告が右仮換地指定処分につき昭和三九年一月一五日被告愛知県知事に対しなした審査請求に対する同被告の同年四月一四日の裁決の取消」を求めるものであり、原告の被告建設大臣に対する請求は「原告が右裁決につき同年五月一一日被告建設大臣に対しなした再審査の請求に対する同被告の昭和四〇年八月一二日の裁決の取消」を求めるものであるところ、被告名古屋市が昭和四〇年四月一九日甲乙仮換地の従前地である甲乙従前土地に対し換地処分をなし、同月二三日原告に右処分の通知をし、同年五月三〇日名古屋市告示第一二一号をもって同処分の公告をしたことは原告の明らかに争わないところであるから、これを自白したものとみなす。そうとすると、原告は被告名古屋市のなした仮換地指定処分に基づき甲乙仮換地を使用収益する権能を失っているものというべきであり、原告において被告名古屋市のなした甲乙仮換地指定処分の取消を求める法律上の利益を有せず、原告の被告らに対する本訴各請求はいずれも訴の利益を欠くものとして却下すべきものである。
よって、訴訟費用の負担について民事訴訟法第八九条を適用して主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 布谷憲治 裁判官 藤原寛 植田俊策)